PP operation 編


FIX を動かすための初期値を得るには?

FIX ツールを動かす,すわなち分岐点の探索を行うためには,なんらかのアトラクタ情報が必要となる.それは Newton 法の初期値として利用するための情報であり,そのための近似値を得ることが PP を実行する一つの目的でもある.

これから分岐を調べようと思っているアトラクタ(平衡点リミットサイクル,周期解,写像点(固定点)など)を探し出し,その時のパラメータ値,状態変数値といった情報を FIX へ渡す必要がある.

従って,FIX を動かすための初期値を得るには,

などを参考に系のシュミレーションを行う必要がある.

その際,大事なのは,解が平衡点や Poincare 写像としての固定点・周期点へと収束したか?という事である.すなわち,定常状態に至った時点での状態変数値,パラメータ値を FIX に与えなければならない.その確認の方法としては,定常状態になった時の状態を各欄に反映させるには?を参照.



アトラクタが定常状態へ達したかどうかをチェックするには?

定常状態へ至ったかどうかをチェックするには,

  • states flow スイッチを利用する
  • Status ボタンを利用する

の2通りの方法がある.

以下,それぞれの利用法を説明する.


  • States flow switch の利用
    • この方法は,数値積分,写像の生成状態をリストボックス内に連続的に表示することで,現在の状態変数値リストを視覚的にチェックする方法である.自律系・非自律系方程式であれば,数値積分を行った際の状態変数リストを,離散系方程式であれば,写像生成時の状態変数リストを表示する.
  1. PP メインパネル内,Plot 欄にある states flow にチェックを入れる.

    steady.png

  2. Start Button を押し,シミュレーションをスタート.

    steady2.png

  3. リストボックス内に現在の状態変数値が表示される.

    steady3.png

  4. 状態変数値に変化がなくなったことを確認する.

    steady4.png

  • Status Button の利用
    • この方法は,イベントを介して,数値積分,写像の生成状態をリストボックス内に表示することで,現在の状態変数値リストを視覚的にチェックする方法である.自律系・非自律系方程式であれば,数値積分を行った際の状態変数リストを,離散系方程式であれば,写像生成時の状態変数リストを表示する.
  1. Start Button を押し,シミュレーションをスタート.

    steady5.png

  2. Status Button をクリック.リストボックス内に,Status Button が押された時点での状態変数値が表示される.

    steady6.png

  3. 数度 Status Button を押して,表示される状態変数値に変化がなくなったことを確認する.

    steady7.png



定常状態になった時の状態を各欄に反映させるには?

解析を進めていく上で,

  • データを作成する時に過渡応答部分を省略したい.
  • 平衡点・周期解へと収束した状態から再度シミュレーションを開始したい.

といった要求が出てくる.

さて,一度 PP を stop し,再度シミュレーションを開始する場合,何もしなければ,見つかったアトラクタからではなく,アトラクタを見つける前の状態(すなわちメインパネル内の Initial states 欄に記載された初期状態)から再度シミュレーションがスタートすることになる.そのため,アトラクタを見つけた時の状態を初期値・パラメータ欄にそれぞれ反映させておきたいといった要求が出てくる.以下では,その反映させるための手順を示す.

定常状態へ至った時点での状態変数値,パラメータ値を各フィールドに反映させるには,

  • マウスを利用
  • メニューバー:Tools を利用

の2通りの方法がある.好みの方法を用いれば良い*2

  • マウスを利用した方法
  1. 平衡点/固定点として状態変数値に変化がなくなったことを確認(アトラクタが定常状態へ達したかどうかをチェックするには?を参照).

    steady4.png

  2. リストボックス内で右クリック*3.選択メニューが表示される.Export current status を選択.

    reflect.png

  3. 現在の状態がストックされたことがリストボックス内に表示される.

    reflect2.png

  4. 再びリストボックス内で右クリックし,Import status を選択する.

    reflect3.png

  5. 現在の status が各項目(状態変数値,パラメータ値)に反映される.

    reflect4.png

    (a) 反映後のメインパネルの様子

    reflect5.png

    (b) 反映前の Initial states と parameter

  • メニューバー:Tools を利用
  1. 平衡点/固定点として状態変数値に変化がなくなったことを確認(アトラクタが定常状態へ達したかどうかをチェックするには?を参照).

    steady4.png

  2. Tools -> Export current status を選択する*4

    reflect6.png

    (a) Export current status を選択

    reflect7.png

    (b) リストボックス内に一時状態がストックされたことが表示される.

  3. 次に Tools -> Import status を選択する.

    reflect8.png

  4. 現在の status が各項目(状態変数値,パラメータ値)に反映される.

    reflect4.png

    (a) 反映後のメインパネルの様子

    reflect5.png

    (b) 反映前の Initial states と parameter



平衡点を表示するには?(自律系)

平衡点がみられるパラメータに設定がしてあるかどうかをチェック.もし発生することが判ってるのであれば,後はスタートボタンを押せばよい.

以下は,平衡点が発生するのか,リミットサイクルが発生するかどうかは全く未知である場合の方法である.

  1. 描画する座標軸を設定する.このためには,描画する位相平面を変更するには?に示した方法で,メニュー:Setting->window から X-axis, Y-axis として状態変数を割り当てる.

    eq_presense.png

  2. 適当なパラメータに設定し, start ボタンを押す.

    eq_presense2.png

  3. 安定平衡点が存在すれば,解軌道は平衡点に収束する.

    eq_presense3.png

  4. 収束した平衡点以外の安定平衡点が無いか?を探したければ,描画 Window 上の任意の位置をマウスでクリックする.これでクリックされた座標を初期値とした解軌道が描かれる*5

    eq_presense4.png

  5. 平衡点へ収束した状態を確認するためには,メインパネル内 clear ボタンを押すことで過渡応答部分を消してくれる.

    eq_presense5.png

    (a) 過渡応答も含めた表示.

    eq_presense6.png

    (b) 過渡応答部分を消去.平衡点の位置は,黒点によって示される.



リミットサイクルをみるには?(自律系)

リミットサイクルがみられるパラメータ設定となってるかどうかをチェック. もし発生することが判ってるのであれば,後はスタートボタンを押せばよい.

以下は,リミットサイクルが発生するかどうかは全く未知である場合の方法である.

  1. 描画する座標軸を設定する.このためには,描画する位相平面を変更するには?に示した方法で,メニュー:Setting->window から X-axis, Y-axis として状態変数を割り当てる.

    eq_presense.png

  2. 適当なパラメータに設定し, start ボタンを押す.

    lc_presense2.png

  3. 安定なリミットサイクルが存在すれば,解軌道はリミットサイクルに収束する.

    lc_presense3.png

  4. 収束したリミットサイクル以外のアトラクタが無いか?を探したければ,描画 Window 上の任意の位置をマウスでクリックする.これでクリックされた座標を初期値とした解軌道が描かれる*6

    lc_presense4.png

  5. リミットサイクルへ収束した状態を確認するためには,メインパネル内 clear ボタンを押すことで過渡応答部分を消してくれる.

    lc_presense5.png

    (a) 過渡応答も含めた表示.

    lc_presense6.png

    (b) 過渡応答部分を消去.もし Poincare 写像点も併せて表示した場合は,赤点によって示される.



周期解をみるには?(非自律系)

周期的外力の印加された非自律系方程式には,パラメータ設定によって周期的外力に同調した周期解が観測できる.周期解がみられるパラメータ設定が判っている場合,そのパラメータ値になっているかどうかをチェックする. 後はスタートボタンを押せばよい.

以下は,周期解が発生するかどうかは全く未知である場合の方法である.

  1. 描画する座標軸を設定する.このためには,描画する位相平面を変更するには?に示した方法で,メニュー:Setting->window から X-axis, Y-axis として状態変数を割り当てる.

    pd_presense.png

  2. 適当なパラメータに設定し, start ボタンを押す.

    pd_presense2.png

  3. 安定な周期解が存在すれば,解軌道は周期解に収束する.

    pd_presense3.png

  4. 収束した周期解以外のアトラクタが無いか?を探したければ,描画 Window 上の任意の位置をマウスでクリックする.これでクリックされた座標を初期値とした解軌道が描かれる*7

    pd_presense4.png

  5. 周期解へ収束した状態を確認するためには,メインパネル内 clear ボタンを押すことで過渡応答部分を消してくれる.

    pd_presense5.png

    (a) 過渡応答も含めた表示.

    pd_presense6.png

    (b) 過渡応答部分を消去.もし Poincare 写像点も併せて表示した場合は,赤点によって示される.



周期点(固定点)の時系列をみるには?(離散系)

差分方程式では,写像毎に点列を位相平面上にプロットする.その方法はは,周期解をみるには?に示した方法と同様である.

以下では,Henon 写像を例にとって,差分方程式の場合の時系列データを表示する方法を示す.

  1. 描画する座標軸を設定する.このためには,時間波形を観るためには?に示した方法で,メニュー:setting -> window より x-axis に離散時間 n を選択,y-axis に状態 x[1] を選択する.

    dis_presense.png

  2. 適当なパラメータに設定し, start ボタンを押す.

    dis_presense2.png

  3. 時系列が表示される.

    dis_presense3.png

  4. 興味のあるパラメータを変化させて系のシミュレーションを行う.以下の例は,パラメータ a を増加させたときに発生する2周期点,4周期点の時系列データを示している.

    dis_presense4.png

    (a) パラメータの増加.

    dis_presense5.png

    (b) 2周期点,4周期点の発生の様子.



Poincare 写像点を表示・非表示するには?

リミットサイクル,もしくは周期解の分岐を調べるには,Poincare 断面上の Poincare 写像点の解析に帰着させて行う.それゆえに,解軌道上の何処に Poincare 断面を設定するか?,設定された Poincare 断面上の写像点が軌道のどの位置にあるか?といった情報を確認する必要がある.

SE よりツールを生成した直後の PP 初回起動時には,Poincare 断面を設定した場合の写像点*8表示しないように設定されている.もちろん、差分方程式系の場合は,写像点を表示し、点列間の Orbit 情報を省略するように設定されている.

その Poincare 写像点を表示もしくは非表示にする方法を以下に示す.

  1. 自律系方程式の場合は,リミットサイクルに横断的な Poincare 断面を設定しなければならない.設定方法は,Poincare 断面を設定するには?を参照のこと.非自律系方程式の場合は,2π/ω時間毎に状態をサンプリングした点を取得するため,特別な設定は必要ない.
  2. メインパネルの Plot 内チェックボックス Poincare にチェックを入れる.

    presense.png

  3. 解軌道上にが打たれるようになる.

    presense2.png

    (a) 写像点非表示の場合*9

    presense3.png

    (b) 写像点表示の場合.赤い点が Poincare 写像点である.

  4. もちろん,写像点を非表示とする場合は,チェックボックス Poincare のチェックを外せばよい.この操作は,シミュレーションを実行している間でも操作可能である.



リミットサイクルの周期はどうやったら確認できる?

リミットサイクルの周期がどの程度あるか?は様々な問題を考える上で重要になる(例えば,ニューロンモデルの繰り返し発火周期(発火周波数)や,サーカデアンリズムのリズム周期など).そのため,現在観測されているリミットサイクルの周期がどれぐらいあるか?をチェックするためには以下の様にすればよい.

  1. Poincare 写像点を表示するようにしてリミットサイクルを観察.もちろんリミットサイクルの何処に Poincare 断面を設定するかは予め決めておく必要がある.Poincare 断面の設定に関しては,Poincare 断面を設定するには?を参照.

    period.png

  2. 定常状態に落ち着いたことを確かめる.

    period2.png

    (a) リミットサイクルへ収束していく様子.

    period3.png

    (b) リストボックス内に表示される状態変数値が一定値であることを確認.

  3. Status ボタン を押す.メインパネルのリストボックスに現在の状態が表示される.このとき,その周期情報(Return time)も併せて表示される*10

    period4.png



周期解(周期点)の周期を確認するには?

現在観測されている周期解(非自律系)や周期点(離散系)の周期が何周期であるか?は分岐点の検出,分岐集合の計算の際に重要になる.現在観測している解の周期をチェックするためには以下の様にすればよい.

  1. Poincare 写像点を表示するようにしてシミュレーションを開始.

    check.png

  2. この例では,4周期点が表示される.

    check2.png

  3. 多周期点が表示されている場合,メインパネル内 Plot 欄にある Period をチェックする.デフォルトの設定では,"1" に設定されている.

    check3.png

  4. このとき,Period 1 は,1回の写像の度に,その座標に赤点が打たれることを意味する.4周期点であることが容易に判るので,この Period を "4" に変更する.

    check4.png

  5. この変更によって,写像4回毎に赤点を打つようになる.2回目,3回目,4回目の写像点は,緑点で表示されるようになる.

    check5.png

一方,周期点が何周期であるか?を目視により判断するのが困難な場合には,Period の数値を1つづ増加させ,その解が何周期点であるかを試行錯誤的に調べる必要がある*11.正確な周期が設定されれば,赤点で表示される点が,ある写像点に固定される.

  1. Period を "2" に設定した場合,2回の写像毎に赤点を表示する.Period を "3" に設定した場合は,赤点の位置が次々に入替わる様子をみることができる.

    check6.png

    (a) Period を "2" に設定した場合の様子.

  2. 正確な周期が設定されれば,表示される赤点は1点のみ表示されるはずなので,更に Period の数値を上げる.
  3. 描画 window 内に表示される写像点を設定周期毎に点を打つように設定する(緑点を表示しないようにする)ことで,正確性を上げることが出来る. Poincare 写像点(周期点)を打つ回数を制御したいを参照.

    check7.png

    (a) 緑点の表示をオフ.

    check8.png

    (b) 4周期毎の写像点だけが表示される.




*1 ここでは,自律系方程式にみられる周期振動をリミットサイクル,非自律系方程式では周期解と呼ぶことにしている.
*2 リストボックス内に表示された数値を状態変数欄に手動で書き込むことももちろん可能ではあるが,変数の数が増えるとこれは大変である.
*3 この時,Pause Buttonを押してから実行するとよい.一方,Stop Button を押してしまうと計算がストップしてしまい,正常な数値がストックされないので注意を要する.
*4 この時,Pause Buttonを押してから実行するとよい.一方,Stop Button を押してしまうと計算がストップしてしまい,正常な数値がストックされないので注意を要する.
*5 もしくはメインパネル内の状態変数値欄の数値を変更することで様々な場合のシミュレーションが行える.
*6 もしくはメインパネル内の状態変数値欄の数値を変更することで様々な場合のシミュレーションが行える.
*7 もしくはメインパネル内の状態変数値欄の数値を変更することで様々な場合のシミュレーションが行える.
*8 非自律系の場合はストロボ写像点(詳しくは周期的非自律系の Poincare 写像を参照)
*9 黒い点が,軌道上に現れる.これは,Poincare 写像点を表すものではなく,シミュレーションを開始した時,及び,Clear Button が押されたタイミングでの状態変数値を表すものであることに注意する.
*10 実は,states flow switch をオンにして,状態変数値をリストボックスに表示することで,リミットサイクルの周期も併せて表示される.リストボックス内に表示される数値は,時間,状態変数 x[1], x[2], ... x[n], 周期の順で表示されている.
*11 周期の自動判別については,今後実装する予定.

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Last-modified: 2009-07-23 (Thu) 20:18:53 (3227d)